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12: もったいない!
11: はだかの何が悪い?
10: 欠点もふくめて、彼女がすきです!
09: 出だしでつまずいてしまった....
08: 『おじゃま虫』ではありませんか?
07: まだヒヨッコじゃない!
06: オバマ大統領就任によせて
05: 長居は禁物!長居をすると嫌われるヨ!
04: 選挙対策のニオイがムンムンだよ!
03: 責任は彼女にある!
02: チンタラしてんじゃないよ!サッサとやれよ!
01: そんなの関係ねぇ!そんなの知ったことか!


講師:のぶぶん女史



津田塾大卒。
米国の新聞社の東京支局や某新聞社の英字新聞の記者を経て、現在は雑多な翻訳して糊口を凌ぐ日々。





She is still wet behind the ears.

締め切り1日遅れて翻訳を提出したら、
私の半分くらいしか生きていない若い担当者(女性)に、
締め切り日厳守の重要性をメールで滔々と諭され、落込みました。
「若い子にこんな基本的なことを言われたくない...」と思ったり、
私が彼女の年齢だった頃は、年上の人にそんなメールを送るなんてあり得なかったと、
時代の変化に驚いたり...。

若くて経験がまだまだ乏しい人、
所謂『青二才』くせに!という時に使われるイディオムが
wet behind the ears/or not dry behind the earsです。
だから彼女の場合は:
She is still wet behind the ears! (まだヒヨッコのくせに!)

直訳すると『耳のうしろがまだ濡れている/乾いていない』という意味ですが、
生まれたての子牛は全身が濡れていて、母親に舐めてもらったりして徐々に乾いていくものの、
最後まで乾かないのが耳の後ろ→そこから、
初心な(naive)、未熟の(immature)、青二才、(学校を)出たての(inexperienced)
という意味に使われます。

もちろん、自分と比べた時の年齢差とその若さ/未経験さを強調したい時には:
She’s just twelve! (まだ12才よ!)
とか、もっと簡単に
She’s just a baby, and learning to walk.
(ヨチヨチ歩きをし始めたばかりの赤ちゃん)
と言っても、『仲間内』では笑いがとれます。

日本語の『お尻が青い』とか『くちばしがまだ黄色い』と同じ表現です。
家畜が身近にいた時代なら
wet behind the ears/or not dry behind the ears =未熟者
という意味がすんなり通ったと思いますが、
このイディオムの起こりを知らない若い人たちもいるようです。
鳥を飼ったことがなければ、若い鳥のくちばしの先が黄色いのを知らないのと同じです。

日本語では『若輩者』は青/蒼ですが、英語ではgreen
green wineというのはオーガニックなワインではなくて、熟成がたりないワインです。
同じくgreen coffeeは生の(いっていない)コーヒーになります。

greenはgreen with envyのように妬み/嫉妬を現わす色でもあると同様に、
He enjoys a green old age.
(彼は年老いても、ますます元気だ)
のように、活力があり、若々さを現わす意味でもあるので、めんどうです。
さらに環境意識が高まる中では、
“What’s green for the environment can also be green for the economy.”
(環境に良いものは、経済もグリーンにする)という
カリフォルニア州知事のアーノルド・シュワルツェネッガーの発言にもあるように、
『脱炭素(化)時代の経済の構築を助ける』という意味もあるので、ますますめんどうです。
ですからグリーンの話はまた今度!