
私のお菓子の先生にはフランス人もいらして、授業は通訳の方が間に入ってくださいますが、
個人的な会話は必要に迫られ、カタコトの英語とカタコトのフランス語と
カタコトの日本語でやりとりしなければならないこともあります。
なので、かなり可笑しな会話が生まれ、思わず笑ってしまう場面が発生します。
いつぞやは、シェフ宛に暑中見舞いハガキを簡単な英語で出したのですが、
オーブンの意味が通じず、何のことか?と尋ねられ、
「グリル、ボックス、ホット、ファイヤー」と身振り手振りで説明するも分かってもらえず、
ついに厨房へ連れていき現物を指差すと、「réfrigérateur!」と大納得。
そして、初めてビュッシュドノエルを作成する授業の日。
まず、ロールケーキを作る作業、レシピ通りに材料を計量し、
イメージ上では、気合を入れて襷に捻りハチマキを締めて作業台の前に立ちました。
が、のちにこのイメージがいけなかったのか(汗)
ボウルに卵を割り入れ、グラニュー糖をすり混ぜ*#?%!!
フゥー!やっとジェノワーズ生地の完成。
生地を大きな天板に流し、オーブンに入れてもらうためにシェフのところへと
充実感たっぷりの足取りで向かいました。
「トレビアン!」とシェフのお褒めのサインをいただき、ニンマリ。
さぁて、次の作業に取り掛かかるぞ!と・・・
ぎゃぁーーー!!!!
私の作業台にポツンと取り残された白い粉。
薄力粉が「私の出番は?」と呟いているかのようで、私の目の前も真っ白。
我に返って、半べそ状態で取り残された薄力粉をみせると、
いつもはポーカーフェイスのシェフの目がまん丸になり、
「TAMAGOYAKI!」
えっ?!卵焼き?
確かにジェノワーズ生地のレシピから薄力粉を外したら、TAMAGOYAKI
シェフは黙って、もうワンセット材料を持ってきて下さり、
オーブンから取り出した私の天板を見て、
「Tamagoyaki ha gomibako!」とおっしゃってその場を立ち去りました(涙)
その後は念には念を入れ、可愛くデコレーションしたビュッシュドノエルを完成させ、
シェフにチェックしていただくと、「ジェノワーズ?」とニャリとされました。
と言うことで、薄力粉入りのロールケーキを作っていきましょう。
実はこの原稿を書いている今は、我が家の垣根のキャロラインジャスミンが満開で、
いい香りを振り撒いてくれています。
そして、みなさまが読んで下さる頃には、ウェルカムツリーに絡み付いている
羽衣ジャスミンの香りが部屋の中まで流れ込んでいると思います。
なので、その香りをレシピでお届け致します。
5月に作りたい 食べたい 大好きなお菓子
『 ジャスミンティーのロールケーキ 』

まず、ジャスミンティーをミルサーにかけて粉末状にします。
う〜ん、いい香りがしますよ!
全卵と卵黄をボウルに入れ砂糖を加えて軽く混ぜたら、バンマリする。
生地が50℃くらいになったらホイッパーでトロンとしてくるまで力強く泡立てた後、
大きな泡をつぶすようにホイッパーを縦にしてゆっくり静かに泡立てる。
ホイッパーを持ち上げ生地を渦巻き状にたらして暫く跡が消えないようなら、
薄力粉とジャスミンティーを粉砕したものを加え、さっくりホイッパーで混ぜたら、
ゴムベラでよくよく混ぜます。
ロールケーキのジェノワーズ生地も色々な食感のものがありますが、
今回は私好みのしっとりではあるけれど、しっかり弾力のある食感をめざします。
天板に流しいれスケッパーでならし、190℃で10〜13分くらい焼きましょう。
焼きすぎると丸める時にスムーズに巻けなくなりますので要注意。
クリームは牛乳を温めてジャスミンティーを入れ、濃い目に香り付けし、絞っておく。
う〜ん、またまたいい香り〜!
生クリームに砂糖を入れ、ジャスミンティー液を加えて硬めに泡立てる。
焼き上がったジェノワーズ生地をオーブンシートに乗せ、クリームを平らにぬり、
端からクルクル巻いていきます。
最後にキュッとシートを締めて、冷蔵庫で休ませましょう。
デコレーションをする時は、クリームやジャスミンティーの粉末を残しておきましょう。
干したてのふんわか布団にダイビングするように、フォークをジェノワーズに沈めてパクリッ!
ジャスミンティーの上品で爽やかな香りが鼻の奥からぬけて、ほっとする美味しさです。
さあ、5月の爽やかな空を見ながら、ほんわかのほほ〜んと食べるのが楽しみですね。
勿論、ジャスミンティーを一緒に飲んでしまえば、アニメの主人公の如く、
貴方の背景はジャスミンの花に埋め尽くされてしまうのではないでしょうか。
でも、くれぐれも薄力粉の入れ忘れにはご注意です(笑)
そんな事件があってから、その先シェフとはカタコトの英語とカタコトのフランス語と
カタコトの日本語で世間話モドキもする仲良しになり、
シェフがフィアンセの待つ異国へ旅立つことになった時も、
手製の刺し子フキンをプレゼントすると、是非遊びに来て下さいと喜んで下さいました。
そんな道のりを経て、今でもロールケーキを作る度に、
TAMAGOYAKI HA GOMIBAKO を思い出します。
だから私は尊敬するチエリー.Dシェフに
Merci beaucoup ありがとう。


Qumico

東京都出身。
短大卒業後、幼稚園勤務。
しかし、父の誕生日に作ったガチガチなバースデーケーキや、母が犠牲になり大量に食べる羽目になったペチャンコシュークリームetcにピリオドを打つべく『ル·コルドン·ブルー』の門を叩き、シェフ達の職人スピリッツと技を学ぶ。現在は、お菓子教室『Gâteau de pocheヌフトロワサンク』で教えながら、日夜おいしい笑顔を広げようとしている。
趣味: 自然観察 クロール 作ること何でも

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| ジャスミンティーのロールケーキ | |
| ●ジェノワ―ズ | |
| 卵 | 3個 |
| 卵黄 | 1個 |
| 砂糖 | 130g |
| 薄力粉 | 60g |
| ジャスミンティー (茶葉を粉砕したもの) |
5g |
| ●ジャスミンティーのクリーム | |
| 牛乳 | 30g |
| ジャスミンティー (茶葉) |
5g (適量) |
| 生クリーム | 150〜200g (適量) |
| 砂糖 | 15〜20g (適量) |